世界のブランド「Hikari」私たちキョーリンは観賞魚用飼料のパイオニア企業です。

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『ひかりクレストプレコ』開発秘話

嗜好性と形状をクリアしなければ市場には出さない
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そういうメンバーの努力によって、少しずつ方向性が生まれてきた……。
山本
そうですね。生だと食べるけど、熱を加えると駄目な材料だとか、傾向がだんだんわかってきました。たとえば、きゅうりについては、すごく嗜好性がいいので混ぜようと検討したのですが、水分が高すぎて、結果的に飼料原料に適合しなかったのです。
水上
パナクーに対して、嗜好性があり、なおかつ飼料原料に使える素材に出会うまで、膨大な時間と労力が必要でした。逆にいうと、その両方の条件を満たす素材と出会ったことで、このプロジェクトの7割は達成したようなものでした。
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それはなんでしょうか。
水上
企業秘密ということで、Xとさせてください(笑)。
山本
ただ、開発側からすると、ひとつの原材料をアピールすることもよりも、配合バランスを大事にしたいと思っています。人間でも、体にいいからと言って、そればかり食べていたら、決して体によくはありません。逆に害になります。それと同じように、魚はこの飼料しか食べないわけですから、色んな栄養素をバランスよく食べさせることが、一番のノウハウになります。
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トータルバランスが一番になるのですね。
山本
そうです。原材料の良し悪しはもちろんのこととして、配合バランスひとつで全然違ってきます。たとえば、より大きくしようと、たんぱく質の配合量をやたら増やしても、それに比例して大きくなるわけではありません。たんぱく質をはじめとするトータルバランスで、飼料効率が80%以下になったり、100%近くになったりするのです。
とくに観賞魚の場合は、いかに綺麗に、いかに健康で、いかに長生きさせるかということが主題ですから、そこにターゲットを置くと、たんぱく質の含有率が35%以上だとかが問題ではなく、配合のトータルバランスが大事になってくるように思います。
そもそも餌であるためには、食べることが基本です。これは当然だと思われるかもしれませんが、餌そのものに嗜好性があることは非常に重要なのです。食べないことには、どんなに栄養バランスが良くても餌として役に立ちません。
そしてもう一つの重要要素として、食べやすいことです。「クレストプレコ」の餌の形状は、円盤型になっています。これが、今までの餌の常識を変えました。
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たしかに変わった形です。通常は紡錘形のペレットや小さなタブレット状になっているように思います。

餌本体

餌本体。
この形状に二人の情熱が結集している

山本
これは水上さんのアイデアでした。
水上
プレコの口の特徴と、食餌の習性から考案しました。プレコは、一般の魚と違って、吸盤のような口をしています。その形状ゆえ、大型肉食魚みたいにパクっと飲み込むのではなく、表面を少しずつ削りながら食べます。この食性に円盤状の形が適していると思いました。
 また、もう1つの理由して、飼育者には魚の食べている仕草を見たいという願望があります。それには小粒にしてすぐに食べさせるよりも、ある程度大きなボタン形状にすることで、削りながら食べる姿がゆっくり見ることができます。
山本
ですが、その形状では、短時間で溶けてしまうことがわかりました。人工飼料は、エクストルーダーという機械で作ります。本来エクストルーダーは、浮き餌などを作るのに適した、膨化させる機械なのです。わかりやすくいうと熱と圧力を加えて、お菓子のカールのように膨らませるのが本来の機能です。
「クレストプレコ」は、エクスルーダーで作りながら、餌を膨らませずに、固くギュッとしまった状態で押し出してからカットしなければなりません。本来とは違う作業工程を必要としながらも、投餌して2時間ぐらいは溶けださずに、水中でこの円盤の形状を維持しなければならない。
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素人考えにも、それが困難なのがわかります。
山本
はっきり言うと、すごく苦心しました(笑)。実際に他社製品でも、この形状に類似したものがありましたが、やはり水中ではどんどん溶け出しました。このような条件を兼ね備えた餌を作るのは、試行錯誤の連続でした。こういう条件設定したら、すぐにできるというものではないんですね。正確な数値に加えて、オペレーターの経験や勘などの職人芸があってはじめて実現する餌なのです。
水上
開発途中ではなかなかうまく行きませんでした。同じような形状に見えて、微妙な違いがあるのです。すごく食いつきはいいけど溶けるのが速いとか、あるいは形状は維持できているのに嗜好性が悪くなっているとか……。
山本
最初は自分でも「これは無理だな」と思いましたから(笑)。
水上
結局営業部として、5~6回はNGを出しました。プレコは臆病な魚で、嗜好性が高くないと出てきません。出てきてもすぐに引っ込んでしまっては面白くありません。営業としては、嗜好性の問題と形状・物性の課題をクリアしてもらわなければ、商品としては出すつもりはありませんでした。  今だから言えるのですけど、もうシラフじゃないんです(笑)。餌作りに没頭しすぎて、ちょっと酔っていたところはありました。ある時、「ちょっと家に来い。お互いに酒飲みながら、俺も思いっきり言いたいこと言うし、おまえも好きなことを言え」と、ぶつかったこともありました。
山本
散々ぶつかって、試行錯誤して……、水上さんは「この商品をちゃんと出せたら、会社をやめてもいい」とさえ言っていました。いまも会社には残っていますが(笑)、それだけ仕事に熱中していました。
水上
「クレストプレコ」はわれわれにとっては特別な商品ですよ。

ひかりクレストプレコ
ひかりクレストプレコ

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