Hikari Plankton
嗜好・成長試験
稚魚にエサを食べさせる事、これが稚魚のエサを考える上での重要ポイントです。
栄養価の高い優秀なエサでも魚が食べないと意味がありません。まず重要なのは稚魚にエサを食べさせる事です。
稚魚の口にエサを届けるには、エサの浮遊性とサイズの2点が重要になります。
まず、稚魚が泳げる範囲にエサが存在する事が大切です。遊泳力が低い稚魚は、体の近くにエサがないと食べることが出来ません。
与えるエサの量が少ないと稚魚にエサが出会う機会が減りますし、エサを多く与えすぎると水質悪化につながります。
水量に対して適切な密度のエサを与えることが必要です。
稚魚の給餌量は、魚の匹数に応じてエサの量を変えるのではなく、水量に対してエサの量を変えるという考え方が一般的です。
表面張力でエサが水面に浮かんだままでは稚魚がエサを食べられませんし、逆にすぐに沈んでしまっては、水を汚す原因になります。浮かず沈まず水中でゆっくりと漂い続ける物性が理想です。
弊社が採用している稚魚用のエサは顆粒タイプです。顆粒タイプのエサは水中でゆっくり漂い続ける特長を持っています。ビーカーなどに入れて観察してもらうと、エサの浮遊性が分かります。
また、エサが万遍なく散らばらず、水中でエサの多いところ少ない所などエサの密度にムラができると、いわゆるトビやビリ、極端な 成長差のある個体が出る原因になります。
次に重要な点は餌の大きさが稚魚の口に入るかどうかです。
口に入らないサイズを食べる事は出来ません。また、稚魚はあごの力が弱いので、 一口で飲みこめない粒をかじって食べる事はできません。
キンギョの稚魚の口の大きさは、全長の1/12〜1/13とされており、生まれたての稚魚の口の大きさは大体200〜300µm程度です。ちなみに鯉は280µm〜430µmなので金魚よりも、少し口が大きいです。
弊社が発売している稚魚用飼料のひかりプランクトンは、前期、中期、後期と3種類のサイズを用意しています。
前期、中期、後期の粒サイズはそれぞれ200µm以下、 200〜370µm、370〜610µmです。
キンギョの口の大きさが 200〜300µm ですので、前期の粒サイズなら生まれたての稚魚でも口に入る事が分かります。
粒のサイズ | 稚魚のサイズ 目安 | |
---|---|---|
ひかりプランクトン前期 | 〜0.2mm | 4〜10mm |
ひかりプランクトン中期 | 0.21〜0.37mm | 8〜20mm |
ひかりプランクトン後期 | 0.38〜0.61mm | 18〜30mm |
なぜ、前期、中期、後期とサイズを揃えているのか。
口に入るサイズであれば、大きいエサの方が稚魚の成長が良いことが知られています。小さなエサをたくさん食べるより、大きなエサを回数少なく食べる方が成長します。摂餌する時に必要になるエネルギーなど些少に思えますが、小さな稚魚にとっては負担なのでしょう。
さらに、稚魚には成長につれて大きいエサを探して食べる傾向があるようです。
これらの理由から、成長するにつれて粒サイズを大きくした方が良い結果が得られることが分かります。
粒サイズと与える稚魚のサイズの目安を上げておきます。
また、見逃しがちなポイントですが、成長するにつれて魚の大きさに違いが出て来ます。魚が大きくなった時に、いきなり前期から中期と切り替えると中期を食べられない魚が出てきます。突然エサのサイズを切り替えるのではなく、魚の大きさを観察しながら前期と中期と混ぜて与えた方が良いでしょう。
安いタイプのエサは魚粉やビタミン、小麦粉などの原料を細かく粉砕した後、混ぜただけのモノを商品にしています。原料を混ぜただけですので、粒を 顕微鏡で見れば一目瞭然ですが、魚粉はそのまま魚粉で一粒、ビタミンはビタミンの粒という状態になっています。遊泳量が低い稚魚は目の前のエサを食べるわけですが、運の悪い稚魚は小麦粉の粒や魚粉の粒だけ食べるという事になりかねません。偏った栄養の粒を食べても、十分な栄養を取る事は出来ません。
栄養の貯蔵量が少ない成長段階の稚魚にとって、1日のロスでも大きなダメージになって、その後の成長に大きく影響します。
ひかりプランクトン
安価な稚魚飼料
弊社の稚魚飼料の場合、一度配合をペレットにして均等に混ぜ合わせたものを、粉砕してさらに顆粒状に造粒していますので、粒ごとに栄養が不均一になるという問題は発生しません。
さらに顆粒状に成形しているので水を汚しにくいという点も大きな利点です。これもビーカーで比較すると簡単に検証することが出来ます。
顆粒タイプのエサの欠点は、コストが上がる事です。原料を粉砕して混ぜるだけの商品と、原料を粉砕した後、エクストルーダーで造粒し、出来た粒を粉砕して顆粒状に造粒、サイズ別にふるいに掛けるという工程を踏んでいますので、コストが掛かるのは当たり前です。
粉砕しただけの商品で稚魚が育たないかというと、決してそんなことは無く、歩留まりや成長を見ると必ず差はありますが、ある程度の稚魚は残ります。稚魚は一腹から大量に取れるので、歩留まりを高くしても仕方が無いという考え方もあります。生産者の場合、エサに対するコストを下げることが採算性の観点から重要ですから、こうした判断が正しい場合もあります。
一方、質の高い魚は弱いという考え方もあります。ちょっと見かけに問題のある魚に限って良く成長するというのは、皆さんにも経験があるのではないでしょうか。
ひょっとすると、稚魚の間に素質のある名魚を失っているかもしれません。
どのレベルのエサを使用するかは、目的に応じて変わってきますが、なぜ価格が違うのか?どうして性能が異なるのかを知っておけば、エサを選択する際に役立つのではないでしょうか。