ここ数年ソルトレイク産のブラインシュリンプのふ化率が低くなり、価格が高騰しています。
それにつれて、らんちゅうの稚魚を配合飼料で育てる方も多くなっているようで、弊社への稚魚用飼料に関する問い合わせが増えてきています。
今回は稚魚用の配合飼料について書かせていただきます。
当たり前と思われるかもしれませんが、稚魚の場合、エサが口に入るまでが、シビアなのです。
まず、稚魚は遊泳力が弱いため、エサを探して広範囲に泳ぐという事ができません。
多少は泳げる稚魚でも、エサを取るために余計にエネルギーを消費すれば、すぐに成長速度が悪くなります。
稚魚の口の周りにエサが漂っていて、あまり泳がないでもエサが食べられるという状況が大切です。
さらに、稚魚は顎の力が弱くエサをかじり取るという事が出来ないため、エサが口より大きいと食べられません。口より大きいエサは食べられずに無駄になります。
逆に粒が極端に小さすぎると、稚魚はエサを認識できません。認識できなかったエサは、そのまま残餌となって水の汚れにつながります。
また、稚魚がエサと認識して食べられるサイズのエサでも、適切なサイズより小さいと成長が悪くなることが知られています。稚魚の場合、エサの大きさに関わらず、1つのエサを食べるのに一定のエネルギーが必要で、そのため、小さいエサの場合は摂取できるエネルギーの割に消費エネルギーが多くなって効率が悪くなると考えられます。
つまり、稚魚が上手く育つには、稚魚の大きさに合った粒サイズのエサが、稚魚の口の周りに万遍なく漂っているという条件が理想的です。
エサのサイズについて、もう少し詳しく見ていきます。
魚の大きさと粒の大きさの関係をイメージするために、稚魚と粒の写真を掲載します。
ひかりプランクトン前期
メダカの稚魚(体長5.5mm)
写真の魚はキンギョではなくメダカの稚魚ですが、大きさは5.5mmです。ふ化直後の金魚の稚魚は約4mmですが、ヨークサックが取れるころには、この程度の大きさになっていると考えられます。
写真の口のサイズと粒の大きさを比べれば、ひかりプランクトン前期は稚魚が十分に食べられる大きさである事が分かります。
ひかりプランクトンは、前期で200μm以下 中期で210〜370μm 後期で380〜610μmと3サイズを用意しています。成長の段階に合わせて粒サイズを大きくすることが可能です。繰り返しになりますが、稚魚には魚の大きさに応じたサイズのエサを与える事が重要です。
せっかく粒サイズが稚魚の大きさに合っても、エサが沈んでしまったり、ダマになれば稚魚が食べる事はできません。
稚魚が苦労せずにエサを食べるために万遍なく水中に漂うことが大切です。
ひかりプランクトンの場合、マイクロバインディングという製法を使っています。
この製法でエサを作ると、水中での分散性が高いので、水に均等に散らばり、沈みにくくなります。
ようやくエサが稚魚の口に入ったとして、今度は粒の栄養が問題になります。
稚魚は一度にたくさんのエサを食べることが食べることができません。1粒ごとに栄養が十分含まれている事が重要です。
安価な稚魚用飼料の場合、原料を砕いて混ぜただけという商品があります。こうした飼料の場合、ある粒は魚粉だけある粒は小麦粉だけという事になりかねません。せっかく稚魚が食べても粒に栄養の偏りがあれば、上手く育つことは出来なません。
ひかりプランクトンの場合、原料を完全に混ぜ合わせてから粉砕しているので、1粒1粒に均等に栄養が混ざっています。
安価な稚魚飼料の例
そのままむき出しの原料であることが分かる
成魚と稚魚では必要な栄養が異なります。稚魚の場合には特にリン脂質が不足すると生育阻害を起こす事が知られています。不飽和脂肪酸も重要です。
例えば、天津産のブラインシュリンプはソルトレイク産と脂肪酸組成が異なり、天津産のブラインシュリンプは18:3n-3脂肪酸が少ないため、淡水魚には不向きという話もあります。
配合飼料ではこうした稚魚独特の栄養に対する要求を考慮して、稚魚の成育に適した栄養を配合しています。
配合飼料はブラインシュリンプやミジンコと比較すると動きがないので、嗜好性が低いことは確かです。
これまで使っていた生餌から、配合飼料オンリーに切り替えるのに抵抗がある方もいらっしゃると思います。
しかし、生餌と配合飼料を併用する事で、コストも下がりますし栄養のバランスも良くなります。
一度ご検討してみてはいかがでしょうか?