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塩水浴について

弱った淡水魚の飼育水に塩を入れると良いと言われています。
いわゆる塩水浴の科学的な根拠についてまとめました。

塩水浴の効能について

①浸透圧の関係

魚の体内の塩分濃度は、0.9%程度に保たれています。
淡水魚の場合、体内の方が周りの水より塩分濃度が高いので、浸透圧により常に水が体内に入ってくる状態になっています。
淡水魚は水をほとんど飲みませんが、エラから水が入ってきます。
水分が入り続けると、細胞が破裂するため余計な水分を尿としてどんどん排出しています。
排出を続けることは、腎臓などに負担が掛かってしまいます。
飼育水を0.5%程度の塩分に保つと、水分の入る量が少なくなるので、排出の負担が減少し魚が楽になると言われています。
(海水魚は逆の話)

②塩分濃度が高いと亜硝酸の毒性が下がる

あまり知られていませんが、塩に含まれる塩化物イオンによって、亜硝酸の毒性が下がります。
亜硝酸が存在すると、血中のヘモグロビンと結合し、赤血球が酸素を運ぶのを邪魔するため、魚が呼吸困難を引き起こします。

ところが、水中に塩化物イオンが存在すると亜硝酸イオンが魚の血中に取り込まれるのを邪魔してくれるため、亜硝酸イオンによる毒性が下がります。
結果、亜硝酸による魚の酸欠を防ぐことができます。

③殺菌効果

細菌や原生動物の体内塩分濃度は0.35%程度と考えられています。
病原菌の種類は非常に多いので一概には言えませんが、0.5%程度の塩分環境下では死滅することが多いため、魚の感染リスクが減少します。
ただし、体表に付いている病原菌に対しては効果がありますが、魚の体内に入ってしまった菌には効果がありません。

*塩分が濃すぎると環境の変化が大きすぎ、逆に魚の負担になるので0.3〜0.8%程度の塩分濃度が多く使用されます。
(寄生虫対策の場合の短期的な濃い塩水浴は別)0.5%という濃度は魚の負担も少なく細菌も死滅する、バランスの良い濃度とされています。

塩水浴のデメリットについて

塩水浴にはメリットばかりでなく、デメリットもあります。

  • ① ろ過細菌が一時的に弱ってしまう
  • ② 水がアルカリ性に傾きやすいので、アンモニアの毒性が上がってしまう
  • ③ 水草が枯れることがある
  • ④ 塩分濃度を高いまま保っていると、海水性の病気が発生することがある。
  • ⑤ 水の蒸発や水換えによって塩分濃度が上下するため、環境が不安定になりやすい。

メリットとデメリットを把握して塩水浴を行いましょう。